●小癋見 大癋見が天狗魔性の面であれば、この小癋見は型が小さいばかりでなく性格的に大癋見とは違った地獄の閻魔や鬼神の面として使われます。顔の道具だてが大癋見より小振りでありながら、引き締まっていて誠に恐ろしい鬼神らしい緊迫感があります。眼は小さくて鋭さがあり鼻は強く力み、口のかみ合わせの線も両端が下がって、大癋見に見られた滑稽味はすっかり消えています。阿吽の鬼神面の性格は大癋見よりむしろ小癋見の方が備わっている。大癋見の薄い紅彩色に対して濃い朱彩色になっている事も、力強さを示す特徴の一つになっています。申楽談義に世阿弥が『鵜飼』で初めて小癋見の面を使ったと記してあります。 素人撮影のため光の加減で写真によっては色味が異なって見える場合がございますが、購入後、一切使用することなく暗所で保管していましたので、素人目ですが傷や汚れなどは見受けられない美品です。 とはいえ、経年品ですので神経質な方はご遠慮いただき、それをご理解いただける方、よろしくお願いいたします。